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〆アジおすすめです!─お酢で締める理由は?

気づいたら5月になっていました。

しかも中旬。お店の魚は、一足先に初夏の顔ぶれです。

 

先月の記事では大量のアジを前に、その名前の由来や、なぜアジフライが有名なのかについて調べましたが、

今回はそんな大量に獲れるアジをいかに長く、美味しく楽しむか、というところに焦点を当てて考えてみました。

 

実は足が早く、すぐに悪くなってしまうアジ。

そんなアジを始めとする足の早い魚を長く美味しく楽しむために、いくつかの調理法が生み出されてきました。

 

メジャーなところでは干物や、今回紹介する酢締めなど。

こうした調理法は、古いものだと平安時代を起源とするものもあるほどに昔から使われてきましたが、

ここでふと疑問が。

 

「昔の保存技術と今の保存技術、ぜんぜん違うのにどうして今も残っているの?」

 

釣れてからお店に届くまでの速度、運んでいる間の温度管理、届いてからの保存・調理環境など、

当時とは比べ物にならないほどに発達してきた現代ですが、なぜ、未だにそれらの調理法が残っているのか。

 

ということで今回は、現在お店で出している〆アジを始めとする青魚の調理法について、なぜ未だに酢で締めるのかについて調べてみました!

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アジの刺身

 


酢締めの役割:保存のため + 魚の風味を整え、独特の味わいを生み出す

酢締めは、もともとは魚を長く保存するために生まれた調理法です。

特に、脂が多く風味の強い青魚によく使われてきました。

ここで重要なのが、魚を酢で締めることで、酢の酸味によって後味がすっきりし、刺身とはまた違った味わいになることです。

また、身が締まることで食感にも変化が生まれ、これが酢締めならではの魅力になっています。

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サゴシ(サワラの若魚)の酢締め

つまり酢締めは、「魚を保存するための技術」であると同時に、魚の風味や味わいを変化させる調理法でもあったということです。

現在では冷蔵・冷凍技術が発達し、昔ほど保存を意識する場面は多くありません。

それでも酢締めが残り続けているのは、保存性だけではなく、この独特の味わいそのものが、一つの料理として定着していったからなのかもしれません。

 


酢締めの調理法と効果

魚を酢で締める場合、一般的には

  1. 塩をする
  2. 酢に漬ける

という流れで調理されます。

まず塩によって余分な水分や臭みが抜け、その後に酢へ漬けることで独特の味わいと食感が生まれます。

また、食酢の主成分である酢酸には抗菌作用があり、これが保存性を高めるわけですが、

  • サバ
  • アジ
  • コハダ

などの脂や香りが強い青魚は、酢で締めることで後味がすっきりし、刺身とは違う味わいになります。


魚+お酢といえば…お寿司のシャリとの関係は?

ここで魚とお酢の組み合わせといえば、お寿司や海鮮丼のシャリ(酢飯)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

では、酢飯も酢締めと似た起源を持っているのか、少し調べてみました。

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もともとの寿司は保存食

現在では「寿司=新鮮な魚」という印象がありますが、もともとの寿司は魚を長く保存するために生まれた料理でした。

農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」では、寿司の原型とされる「馴れずし」について、

「馴れずしは、樽の中で魚を塩と炊いた米で乳酸発酵させた、独特の匂いと酸味が特徴の保存食。」

農林水産省HP「にっぽん伝統食図鑑|馴れずし」

と説明しています。

当時は、塩漬けした魚と飯を長期間発酵させることで保存性を高めており、発酵を促すためのお米は食べずに捨てられていました。

しかし室町時代になると、発酵期間を短くし、飯も魚と一緒に食べる「生馴れ(なまなれ)」が登場します。同資料では、

「元々は魚を長期保存するための加工方法だったため、発酵を促す飯は捨てられていた。しかし、室町時代には発酵期間を短くし飯も魚と共に食べる「生馴れ」が生まれた。この酸味のある飯が、後に今日食べられている「すし」へと発展していった。」

農林水産省HP「にっぽん伝統食図鑑|馴れずし」

と説明されています。

つまり、もともとの寿司は、米と魚を一緒に発酵させ、その酸味を利用して魚を保存する料理だったということです。

やがて時代が進むにつれ、長期間の発酵を待つのではなく、酢を加えた飯を使って短時間で作る寿司へと変化していきます。

その後、江戸時代の江戸前寿司では酒粕を原料にした「赤酢」も登場。

赤酢を使った酢飯とともに、早ずし、押しずし、にぎりずしなど、さまざまな寿司文化が広がっていきました。

現在の寿司は「新鮮な魚を楽しむ料理」というイメージが強いですが、その背景には、酢締めと同じように、魚を長く美味しく食べるための工夫から始まった歴史があるようです。


「長持ちさせるため」から「その料理で食べたい」に変わった

現在は冷蔵・冷凍技術が発達し、昔ほど魚を長持ちさせる必要性は高くありません。

それでも、

  • 干物
  • 酢締め

などの料理・調理法が今でも親しまれているのは、単なる保存食だからではなく、その加工によって生まれる味や食感が、一つの料理として親しまれてきたからではないかと考えられます。

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干物には干物ならではの香ばしさがあり、酢締めには刺身とは違った後味や食感があります。

昔の人が生み出した保存技術は、時代が進む中で美味しさそのものとして受け継がれてきたのかもしれません。


海彦の〆アジ、ご賞味ください!

技術が発達した現代においても、昔の人々が生み出してきた料理や味が残り続けるのってなかなかすごいことだなと。

今から100年後、果たしてどんな料理が残っているのでしょうか。

逆に昔の海鮮料理を再現してみても楽しそうなので、機会があれば挑戦してみます!

 

海彦では〆アジやゴマアジ、アジフライや刺身など様々な味わいのアジをお出ししていますので、気になる方はぜひお試しください!

皆さまのご来店を心よりお待ちしております♪

  • この記事を書いた人

海彦スタッフ

県外から島根にやってきた大学院生。魚や日本酒の知識を身につけながら、美味しい魚の食べ方やお酒に合う料理を模索中。

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