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ノドグロはなぜ高級魚?値段が高い理由を漁師目線で解説!

山陰を代表する高級魚といえば、やっぱりノドグロ!

お魚屋さんや飲食店で見かけたとき、「おいしそうだけど、なかなかいいお値段だなぁ」と思ったことはありませんか?

 

でも、どうしてノドグロはこんなに高いのでしょうか?

「脂がのっていておいしいから」

もちろん、それも大きな理由のひとつ。

 

けれど、実はそれだけではありません。

ノドグロが暮らす海の環境や漁獲量、成長にかかる時間、そして全国的な人気など、いくつもの事情が関係しているんです。

今回は、そんな「ノドグロはなぜ高級魚なのか?」という疑問を、海彦ならではの漁師としての視点も交えながらご紹介します!

ノドグロはなぜ高級魚?値段が高い理由を漁師目線で解説!

大量のノドグロ!


そもそも「ノドグロ」ってどんな魚?

ノドグロの標準和名は「アカムツ」。

赤く美しい体をしていますが、口の奥が黒いことから「ノドグロ」と呼ばれています。

ノドグロはなぜ高級魚?値段が高い理由を漁師目線で解説!

影じゃないんです!びっくりするほどに真っ黒なノドグロの口内!

山陰をはじめ、日本海側の各地で水揚げされる魚で、島根県を代表する高級魚のひとつです。

特に有名なのが、脂の豊かさ。

白身魚なのに脂がたっぷりとのっていることから、「白身のトロ」と呼ばれることもあります。

刺身で食べれば脂の甘みを、炙れば香ばしさを、塩焼きにすればふっくらとした身のおいしさを楽しめます。

 

島根県浜田市では、一定の基準を満たしたノドグロを「どんちっちノドグロ」というブランド名で出荷しています。

そんなノドグロですが、なぜこれほどまでに高い値段で取引されるのでしょうか?

その理由をひとつずつ見ていきましょう!


理由① 漁獲量が限られているから

ノドグロが高級魚と呼ばれる大きな理由のひとつが、漁獲量の少なさです。

ノドグロは、主に沖合の比較的深い海で暮らしている魚。

山陰沖では底びき網などによって漁獲されていますが、アジやサバのように大量に水揚げされる魚とは違い、流通する量が限られています。

もちろん、毎年まったく同じ量が獲れるわけではありません。

魚の資源状況や海の環境、天候などによって、水揚げ量は変わります。

 

特に日本海の冬は荒れる日も多く、漁船が出漁できないこともあります。

欲しい人がいても、いつでも十分な量を用意できるとは限らない。

この供給量の限られたところが、ノドグロの価格を考えるうえで重要なポイントなんです。

 

ただし、漁獲量が少ない魚が必ず高級魚になるわけではありません。

ノドグロには、もうひとつ大きな理由があります。


理由② 全国的な人気が高く、食べたい人が多いから

魚の価格は、獲れる量だけで決まるわけではありません。

「どれだけ獲れるのか」と「どれだけ買いたい人がいるのか」。

この需要と供給のバランスが大きく関係しています。

ノドグロは、脂の豊かな味わいから人気が高く、飲食店や旅館、贈答品など、さまざまな場面で求められる魚です。

そして、このノドグロの知名度を全国に広める大きなきっかけとなった出来事がありました。

 

錦織圭選手のひと言で、ノドグロが全国的な話題に!

今から12年ほど前の2014年9月。

テニスの全米オープンで準優勝した島根県出身の錦織圭選手は、帰国後の記者会見で、食べたいものを尋ねらました。

そのときに挙げられたのがノドグロ!

この発言はニュースでも大きく取り上げられ、ノドグロが全国的に注目されるきっかけのひとつになりました。

 

実際、2016年のJ-CASTニュースでは、島根県水産技術センターへの取材として、ノドグロの卸売価格が錦織選手の発言前と比べて約2割上昇したと報じています。

また、東京にあった島根県のアンテナショップでは、ノドグロの干物の月間販売枚数が、発言前の約400枚から約900枚に増えたという報道もありました。

 

もちろん、人気が高まった理由は錦織選手の発言だけではありません。

北陸新幹線の開業や、テレビのグルメ番組などの影響も考えられます。

そして、ノドグロは錦織選手の発言よりも前から高級魚として知られていました。

それでも、地元で親しまれてきた魚が、ひとりのスポーツ選手の発言をきっかけに全国から注目されるようになったというのは、面白い話ですよね♪

参考:J-CASTニュース(2016年2月25日)

 

理由③ 大きく育つまでに時間がかかるから

もうひとつ、ノドグロについて知っておきたいのが、成長の遅さです。

魚には、短期間で大きくなる種類もいれば、長い時間をかけて成長する種類もいます。

ノドグロは、成長に比較的長い時間がかかる魚です。

近畿大学の養殖研究では、食用サイズとなる全長20センチ、重さ150グラム程度まで育つのに、約3年かかると報告されています。

これは人工飼育での例ですが、ノドグロを大きく育てることが簡単ではないと分かります。

市場では、ノドグロの大きさによって価格が違うこともあります。

一般に、大型のノドグロは希少性が高く、品質や需要などの条件によっては、小型のものよりも重量当たりの価格が高くなることがあります。

もちろん、魚は大きければ必ず高いわけではありません。

鮮度や脂の状態、水揚げ量などによっても値段は変わります。

それでも、立派なノドグロが育つまでに長い年月がかかっていると知ると、その価値の見え方も少し変わってきませんか?

ノドグロはなぜ高級魚?値段が高い理由を漁師目線で解説!

立派なノドグロ!


理由④ 養殖で簡単に増やせる魚ではないから

ここまで読んで、こんな疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。

「天然のノドグロが少ないなら、養殖すればいいんじゃない?」

確かに、マダイやブリなどは養殖が広く行われ、安定した供給を支えています。

ところが、ノドグロの養殖は簡単ではありません。

 

比較的深い海に生息するノドグロは、人工的に卵をふ化させることや、小さな稚魚を育てることにも難しさがあります。

さらに、先ほどご紹介したように、食用サイズまで育てるには長い時間が必要です。

そのため、これまでノドグロの供給は天然の漁獲に大きく頼ってきました。

漁獲量が少なくなったからといって、養殖で不足分をすぐに補えるわけではなかったのです。

こうした事情も、ノドグロの価格が高くなる背景にあります。

 

完全養殖成功!ノドグロが、もっと身近な魚になる未来も?

ノドグロが高級魚である理由を見てきましたが、実は将来への明るい話題もあります!

2026年2月、近畿大学が世界で初めてノドグロの完全養殖に成功したと発表しました。

完全養殖とは、人工的に育てた魚を親にして、さらに次の世代の魚を誕生させること。

ノドグロのように養殖が難しい魚にとって、大きな研究成果です。

もちろん、完全養殖に成功したからといって、すぐに大量生産ができたり、値段が安くなったりするわけではありません。

安定して育てる技術や生産コストなど、解決しなければならない課題もあります。

 

それでも、今後の研究によって安定した養殖が実現すれば、天然の漁獲だけに頼らず、ノドグロを供給できる可能性が広がります。

いつか、今よりもっと気軽にノドグロを楽しめる日が来るかもしれませんね♪

参考:近畿大学「世界初!近畿大学がノドグロの完全養殖に成功」

ノドグロが高級魚なのには、ちゃんと理由があった!

ノドグロはなぜ高級魚?値段が高い理由を漁師目線で解説!

2日間(10/9,10)限定のランチのノドグロ丼

ノドグロが高級魚と呼ばれるのは、単においしいからというだけではありません。

漁獲量が限られていること。

全国的に人気が高く、食べたい人が多いこと。

大きく育つまでに時間がかかること。

そして、養殖で安定的に供給することが難しかったこと。

こうしたさまざまな事情が重なって、ノドグロの価格につながっているんですね。

ただし、魚の値段が高いからといって、ほかの魚より必ずおいしいというわけではありません。

アジにはアジの、イサキにはイサキの、マダイにはマダイのおいしさがあります。

もちろん、ノドグロにもノドグロならではの魅力があります。

海彦では、その日の魚の状態を見ながら、それぞれのおいしさを楽しんでいただけるように調理しています。

もしノドグロを食べる機会があれば、今回紹介した背景を思い出していただけると嬉しいです!

いつもの一皿が、また違った味わいに感じられるかもしれませんね♪

参考資料

島根県「どんちっちノドグロ」

島根県公式観光情報サイト「海の幸」

J-CASTニュース「錦織発言で高級魚『ノドグロ』枯渇の恐れ」(2016年2月25日)

近畿大学「世界初!近畿大学がノドグロの完全養殖に成功」(2026年2月5日)

科学技術振興機構 Science Portal「高級魚ノドグロ、近畿大が完全養殖に成功」(2026年2月18日)

 

 

  • この記事を書いた人

海彦スタッフ

県外から島根にやってきた大学陰生。
魚を捌いている様子や仕込みの様子、メニューのこだわりポイントをインタビューしてブログ記事の執筆を行う。
山陰の魚や日本酒の知識を身につけながら、美味しい魚の食べ方やお酒に合う料理を模索中。

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